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2024年11月1日金曜日

奥様、お手をどうぞ 11

めんどくさい、言うな

あなたにはそんな悲しげな顔は似合いません
笑ってください
いつものように
ああ、おまえの望み通り嗤ってやろう 

我が一族に加わるという栄誉を拒み、
ぶざまに野垂れ死んでゆく愚か者を
腹の底からあざ嗤ってやろう
…それでこそあなた様です



始祖「気がつけば、あいつと一緒にいた時間よりあいつがいない時間のほうがとっくに長くなっていた」
始祖「それでも、雪が降る頃になると無性に人恋しくなる パスカルの『形代(かたしろ)』を求めて町をさまようこともあった」
ドニア「前に、手下から聞いたことがある 黒髪の男ばかり襲うヴァンパイアの噂」
ドニア「…あれって、やっぱりあんただったんだね」
始祖「おまえのような勘のいいばばあは嫌いだよ」
だが、もうそれもやめにしよう

いくら姿かたちが似ていても
誰もパスカルの代わりにはなれない

俺のパスカルはどこにもいないのだ


もう



どこにも






始祖「がっかりしただろう」
ドニア「え?」
始祖「『始祖様』だの何だの偉そうに言って… 実際の俺は、そう、空っぽなんだ」
ドニア「………」



一匹狼を装っていても、孤独が好きなわけじゃない
「始祖様」ゆえに誰にも弱音を吐けず、弱みも見せられず―――


あたしはヴラドが抱える孤独をかいま見た気がした ほんの少しだけどね
始祖「ドニア おまえは不思議な女だな」
ドニア「ん?」
始祖「俺様に、ここまで赤裸々に語らせたのはおまえが初めてだ パスカルの最期の様子でさえ、サラに話せなかったのに」
ドニア「ふふ、なぜだろうね 昔からよく言われる」
ドニア「『おまえの前では格好つけたり自分を偽ったりできない』ってさ」
始祖「………」



あたしも若い頃は恋のひとつやふたつ… 
いや、みっつや四つはしたもんだ
…でもね
あたしにとって、男たちは「ただ通りすぎていくだけの存在」だった

こんな風に長い間、誰かを愛し続けられるヴラドがうらやましくさえ思える
(ヘムロックのお嬢ちゃんが言うには、パスカルが死んでからもう四、五十年経つらしい)





今日のドニア:ドニアのこの台詞はそうゆうことなのです とはいえ、始祖様はエースに恋情を抱いているわけじゃありません
参照記事:晴天をほめるには日没を待て「さよならを言うには遅すぎて 6.5」

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2024年10月28日月曜日

奥様、お手をどうぞ 10

ふだんは、チベットギツネのような褪めた表情(ツラ)なのに
要所要所であいつはその才覚を発揮した
ストラウド家破産の危機を免れたのもあいつのおかげだ
パスカル「可愛いサラ様を露頭に迷わせたくなかっただけです あなたのためじゃありません」
始祖「………」
俺たちはヴァンパイアで、あいつは人間
流れる時間(とき)が違うのは承知していた
でも…
そのことからずっと目をそむけてきた



――――――あの日まで



ドニア「…… 血を吐いた?」
始祖「あいつは、いつしか胸を患っていた だが、俺には何も告げなかった」
始祖「あいつは昔から俺にかくしごとばかりしやがる」
ドニア「あんたが彼を見つけた時、まだ息はあったんだろう? だったら、あたしの時みたいに」
始祖「…あいつはヴァンパイアになることを拒んだ」
ドニア「!?」
始祖「人として生き、人として死んでゆく それが自分の矜持――あいつの口癖だった」
だから俺は
あいつの望みを叶えてやるしかなかった※

※注:ストラウド一族の掟として「人間を我が一族に加える場合は、ヴァンパイア・人間双方の同意を必要とする」 だからパスカルがヴァンパイアになることに同意しないのならば、始祖としても「彼を人のまま死なせる」以外の選択肢はなかったのだ
始祖様? 
あなた、今にも泣きだしそうな顔をなさっていますね
ヴァンパイアは泣け… 
いや、泣かない
涙腺※がないからな

※注:ヴァンパイアには涙腺がないというのはマイ設定です
さようでございましたね
つくづく、ヴァンパイアとは
めんどくさい生き物ですね


今日の始祖様:ストラウド・マナーはしばしば送電を止められる 「…またかよ 『神』(=プレイヤー)のあほんだら」


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