2024年10月28日月曜日

奥様、お手をどうぞ 10

ふだんは、チベットギツネのような褪めた表情(ツラ)なのに
要所要所であいつはその才覚を発揮した
ストラウド家破産の危機を免れたのもあいつのおかげだ
パスカル「可愛いサラ様を露頭に迷わせたくなかっただけです あなたのためじゃありません」
始祖「………」
俺たちはヴァンパイアで、あいつは人間
流れる時間(とき)が違うのは承知していた
でも…
そのことからずっと目をそむけてきた



――――――あの日まで



ドニア「…… 血を吐いた?」
始祖「あいつは、いつしか胸を患っていた だが、俺には何も告げなかった」
始祖「あいつは昔から俺にかくしごとばかりしやがる」
ドニア「あんたが彼を見つけた時、まだ息はあったんだろう? だったら、あたしの時みたいに」
始祖「…あいつはヴァンパイアになることを拒んだ」
ドニア「!?」
始祖「人として生き、人として死んでゆく それが自分の矜持――あいつの口癖だった」
だから俺は
あいつの望みを叶えてやるしかなかった※

※注:ストラウド一族の掟として「人間を我が一族に加える場合は、ヴァンパイア・人間双方の同意を必要とする」 だからパスカルがヴァンパイアになることに同意しないのならば、始祖としても「彼を人のまま死なせる」以外の選択肢はなかったのだ
始祖様? 
あなた、今にも泣きだしそうな顔をなさっていますね
ヴァンパイアは泣け… 
いや、泣かない
涙腺※がないからな

※注:ヴァンパイアには涙腺がないというのはマイ設定です
さようでございましたね
つくづく、ヴァンパイアとは
めんどくさい生き物ですね


今日の始祖様:ストラウド・マナーはしばしば送電を止められる 「…またかよ 『神』(=プレイヤー)のあほんだら」


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